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2009年11月 8日 (日)

オーストリアにある大坂図屏風

オーストリアのグラーツ市にあるエッゲンベルク城博物館で、豊臣の時代の大坂城や大坂の人々の暮らしを描いた屏風絵が見つかりました。BSハイビジョン特集でも放映していました。(オンデマンドは11/10まで) 再発見の詳細は下記ページ参照。

エッゲンベルク城で再発見された大坂図屏風
(Graz Tourisum)

その研究の現状を報告する国際フォーラム「豊臣期大坂図屏風の「謎」をとく」に参加してきました。専門家三者それぞれの視点から見た屏風に関する見解報告と質疑応答の二部構成です。

大阪城天守閣の学芸員さんは屏風の絵柄の内容について検証。日蘭学会の方はオランダ東インド会社の貿易記録で屏風の取引を詳しく見ていきます。エッゲンベルク城博物館の学芸員さんは、エッゲンベルク城を中心としてその時期の貴族の移り変わりと、所蔵品の記録を解説しています。


【再発見に至るまで】

8枚で一つの屏風なのですが、一枚ずつバラバラにされ、城内の部屋の内装の一部に使われています。ヨーロッパでアジア様式が流行りだして、中国の物もインドの物も一緒くたに内装の素材になっています。これまでも何度か日本人が目にする機会はあったのですが、誰も価値あるものとは気づかなかったそうです。日本とは全く違う飾り方で、部屋の下から天上までびっちり絵や焼きもので飾り尽くしてますからねえ。そんなにたくさんの表現に囲まれたら、イヤになってじっくり見ないでしょう。

しかし学芸員さんが90年代に何か価値があるものかもしれない、と世界中に意見を求め始めましたが、「それは19世紀頃に観光客向けに作られたものだろう」と予測に沿わない回答だったとか。18世紀には部屋の装飾になっていたので、それより後に作られたものであるはずはありません。

2000年に城を修復するときに、日本の専門家にも立ち会ってもらったり、写真を日本の大学に送ったりしているうちに、やはり価値があるものとわかってきたそうです。


【屏風本体について】
屏風絵がいつ作られたものかが重要なポイントです。
・絵柄の内容
・描き方
をどう見ていくかで意見が分かれてきます。

解説するような文言は何も入っていないので、描いてある物が何であるかは、絵を見て考えるしかありません。日本画は写実的に描くよりも、ある程度決まった様式で図のように表現していることが多くあるので、時代がはっきりしている他の絵を参考にして、表現している場所を探っていきます。天守閣や城下の様子から豊臣期の大坂城と大坂の街並みと判断。

この絵は他の価値ある屏風から見れば、描き方が少々荒いそうで、なかなか価値を認めてもらえなかった原因でもあります。輸出向けや観光客向けの作品なら、もっと時代が新しいかもしれません。しかし、人物の描写方法や金色の雲の描き方から見ても、そんな粗末な作品では無いと考えられています。


【屏風の取引について】

1600年代初め頃にこの屏風が描かれたと想定されているため、国外へ持ち出して直接ヨーロッパへ運んだとするなら、鎖国で貿易国が限られていたため、オランダの船しか考えられません。しかし今のところオランダ東インド会社の記録からそれらしき記録は見つかっていないそうです。

しかし、エッゲンベルク城博物館の学芸員さんの報告では、ポルトガルから持ち込まれた可能性があるとのこと。日本からポルトガルへ直接運ぶことはありませんが、一度アジアのどこかの国へ持ち出して、そこからポルトガルへ運ぶことは可能です。スペインやポルトガルの貿易の記録に屏風の取扱もよく載っているそうですから、ここを深く探ってみる必要がありますね。


一つの屏風も見る人の立場や考えが違えば、いろんな見え方がありますね。何か物事に取り組むときは、いろんな人に見てもらうのが一番早くて確実かもしれません。結局の所、まだごく一部のことしかわかっていなくて、まだまだ研究が必要です。何か手がかりとなるような意見や資料があれば、提言してみてはいかがでしょうか。


~余談~
オランダ東インド会社の記録の中には、屏風の絵柄は人物ではなく花や風景にしてほしいとか、ゴキブリ対策をしてほしいといった要望が書かれた書簡もあるとの紹介がありました。ゴキブリ対策と聞いて、イヤな思い出がよみがえりました・・・。

実習の課題で顔彩(絵の具の一種)を使ってB2パネルに絵を描いて、評価が終わった後しばらく部屋のそこらに置いていました。片付けようと思って絵を見たら、絵の具の部分がすっかり無い!小さいツブツブ状に絵の具が取られている様子からすると、これってゴキブリに食われた!わーーーー!めっちゃがんばって描いたのにーーーー!うううううっ。

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